PR

旅のお役立ちツール【1】防犯意識から始まる旅

聖ミカエル イタリア

海外旅行でやることの第一は防犯意識を持つことから

イタリアの治安の悪さはつとに知られているところだが、どうしても行きたくて、女ひとり旅、初イタリア旅行を計画した。
友人にその話をしたとき、「なんかあったときのために、凶器代わりになるものを持っていこうかな」と言ったら、「そこじゃない。詐欺とスリですよ。話しかけられても相手にするなってことです」とたしなめられた。

「平成29年版 犯罪白書」の「国外における日本人の犯罪被害件数」を見ると、ダントツで「窃盗」が来る。次に「詐欺」「強盗」の順。比率でいうと、10:1:0.8…みたいな数字の差だった。

早い話が暴力ではなく、くすねられるのだ。
スリ、詐欺、ひったくり、置き引き…。なかでも、パスポートを盗まれるのが最悪の事態だろう。旅程がパァである。

何かあっても頼れるものは自分だけ。相当な緊張感が行く前からみなぎっていた。
そういうわけで、防犯対策として情報収集と吟味を念入りにすることとした。イタリアを例にいくつか紹介したい。

なお、実際のお役立ちツール・グッズについては、別の項を設けているので、下記を参照のこと。

>>旅のお役立ちツール【2】あったら便利グッズ

>>旅のお役立ちツール【3】防犯グッズ

>>旅のお役立ちツール【4】Wi-fiあってもなくてもスマホは有益!

心構え:来るならかかってこい!オーラを出す

海外旅行の心構えとは、何かされたら大声を出すのは当たり前。危害を被られそうになったらパンチかキックが次の瞬間飛び出すような気持ちで…。気持ちだけでも、そのくらいの覚悟をもって私は渡伊したのだ。

聖ミカエル

聖ミカエル。心の中に盾と武器を持とうということだね。

イタリアなどで日本人ばかりを狙う輩も多いらしいのだが、それは日本人が何かあっても声すらあげないのを知っているからなのだとか。大声で「なんだコラッ!」も言えない人は、狙われても仕方がないというくらいの覚悟がいる。

詐欺で、路上の絵を踏んでもいないのに、「お前、踏んだだろ? 金払えや」と因縁をつけられる事件がフィレンツェで多発しているが、怒鳴り返したり、無視したり、警察を呼ぶだけで、相手は諦めるものなのだという。半額で勘弁してもらったという結末を聞いたとき、払う理由がないものをつい払ってしまうことに憤りを感じる。
移民らしき人からミサンガを「無料だ」と手首に付けられて、次の瞬間「金をくれ」と言われると、悲しそうに数€払う人もいれば、「無視したら相手も諦めたわ」という人もいた。

この違いを心がけの問題と言えなくもない。

今後、よからぬ事例をたくさんつくることで、より日本人が狙われるという悪のスパイラルをつくってはならない。

犯罪者は相手をよく見ている。カモなのか、その人よりももっとカモらしき人を狙うほうが無難なのかを。
少なくとも、真っ先に狙われる雰囲気だけは出したくない。

注意! “ザ日本人”ってどんな身なり?

日本人ばかりを狙う…ということは、見ただけでその人が日本人だとわかるということだ。
さて、それはどんな身なりなのだろうか。

いくつか海外旅行慣れした人の話を総合すると、日本人女性はフェミニン系でスカートをヒャラヒャラさせて、オシャレに歩いているのだそうだ。その横を男性が歩いていると、それもまた日本人ということになる。中高年はというとカラフル。

ぽつんとひとり、ヒャラヒャラ系の日本人女子。

一方、その他の国の人や旅行者たちは、黒いパンツかジーンズである。スカートはほとんど見かけなかった。
そういわれてみれば、ドイツに行ったとき、黒のパンツ姿の女性率がかなり多くて「なんで?」と思っていた。イタリアでは、ジーンズ率も多く、ショートパンツの人がちらほらいても、スカートをはいている女性はめったにいなかった。

ミラノ中央駅

よく「ブランドものは身に着けないようにしましょう」とガイドブックにあるが、そんなものを持たずとも、服装が「ザ日本人」ならバレバレであろう。
われら日本人女性はかわいいのが好きな人も多い。通勤時の服装もオシャレをして普通だ。
海外の男性に日本人女性の印象を聞くと「オシャレ」という意見が多くあったという記事を読んだことがある。驚いたが、海外では職場などへ普段からオシャレをしていく人はあまりいないようだ。その代わり、普段すっぴんにジーンズの人が週末のパーティーでは打って変わってフルメイクにドレスアップして楽しむのだ。

また、スーツケースでは、ハードタイプの率が多いのも日本人か中国人の特徴だという。そういう目で見渡すと、たしかにあちらの人たちはソフトな布スーツケースが多いように感じた。

これらを知ったうえで、でもラクチンなスカートを選ぶ人もいるし、雨に濡れることを考えてプラスチックのスーツケースを選ぶ人もいる。

ちなみに天野川は、ユニクロの黒のパンツで行った。花の都なのに一切のオシャレをやめて、肩からエコバックを下げ、現地で暮らしているようなチープな姿であった。そして、わざと見えるようにポケットに入れたスマホと上着をチェーンでつなぎ、「こっちは気をつけているんだからな!」を表現した。

そういう目で現地にいると、私なんかよりも、もっとカモっぽい人がわんさかいるから、狙われないだろうという妙な安心感があった。何より、イタリアなんかでひとり旅をする女子も珍しいので、目立たないのかもしれない。

そういうわけで、”貧民偽装”が無難。もっと徹底するなら、チープな恰好にスーパーの買い物袋という姿が良いそうだ。賢い地元民も貧民偽装をしているらしい。

“ザ日本人”のしぐさ

「日本人オーラ消せたかな」と心の中で笑っていたら、フィレンツェのサン・マルコ修道院でイタリア語のパネルの写真を撮っていたとき、イタリア人のおじいさんから流暢な日本語で「わかるかな?」と尋ねられた。驚愕だった。
私は目をぱちくりさせて、その方に聞いた。

「なんで私が日本人だとわかったんですか? 服装ですか?」
「いやいや。見た目ではわからなかった。しぐさだよ」
「しぐさ??」
「ええ。わたしがパネルを見ていたから、あなたはわたしの邪魔にならないようにして写真を撮っていたでしょ? ふつう、ああいうふうに控えめに写真を撮ったりしないからね」
「そういうものですか」

相手の迷惑にならないよう、申し訳なさそうに端から写真を撮っていたのだが、それが大和撫子ならではの奥ゆかしさだったのだろうか。。
その方は、日本に住んでいたことがあるとのこと。
奥様らしき日本人女性が現れ、私たちがにこやかに話しこんでいたので、「知り合いとしゃべっているのかと思った!」と笑った。

それにしても、外国人は日本人をよく観察している。。

それから、電車で寝るというのも、日本人バレバレだそうなので、気を付けたい。

目を合わせない日本人

日本人はあまり他人と目を合わせないのが特徴だ。

店に入っても、レジでやりとりしても目を合わせなくてもよい。日本ではそれで困らない。
しかし、欧米では、アイコンタクトが重要。入店するときに必ず店員と目を合わせて挨拶をするようガイドブックに載っているくらいだ。

「日本人は英語が苦手な人が多いが、勉強法などの差ではなく、コミュニケーションに問題があるからではないか?日本人のほとんどがコミュニケーションに問題を抱えている」と指摘する人もいる。おそらく真実であろう。

私の経験では、目が合わなければ、まず挨拶すらしない。ドイツのハイキングコースですれ違う人と挨拶を交わすか否かの実験を単独でやったのだが、結果は目が合った人とだけに成功するというもの。まぁ、当然なのだが。

目を合わさないということは、あなたと関わり合わないというメッセージになる。したがって、要件以外しゃべることもないし、親しくなることも難しい。これらは自らが生んでいる原因である。
目を合わせることが当たり前の人たちからすれば、目立つ存在となるだろう。

狙われやすいタイミング

どうやら狙われやすいタイミングというのがあるらしい。スーツケースを転がして歩いているときだ。

どう見ても旅行者であり、まとまった金額を持っている可能性が高く、不慣れな場所を歩いている確率が高い。

両手がふさがっていたり、動きにくさもあって、ジプシーなど集団スリが囲みやすいのだ。囲まれそうになったら、騒ぐかすぐさま逃げて突破するしかない。

では、スーツケースをやめて、バックパックで行くべきか?
そういう人も多いが、後ろから狙われたらわからないというデメリットがある。バックパックは薄布なので、切られて取り出される心配が尽きない。

いろんなアドヴァイスを見ると、どうやら機内持ち込みOKサイズの小さいスーツケースと大きめのカバンかバックパックの組み合わせが良いという声がちらほらあった。そして、空港からホテルまでなら大きめのバックパックはありだが、通常は、ひったくりされにくい別のバッグで行動するというものだ。

ホテルまでの道のりは、ブサイクでもリュックは背中でしょわずに前抱えにし、ショルダーバッグは当然斜め掛けにすること。

当たり前だが、夜遅い時間帯はどんな格好をしていても、狙われやすいのは言うまでもない。中央駅で襲われた話でいえば、タクシーに乗るとかいう前にやられているということなのだから、危ない行動は慎まないといけない。

イタリアの特徴

とりあえず犯罪の特徴を調べる!

外務省情報には、どこでどんな犯罪があるか詳細に載っているので、必ずチェックしたい。

ちなみに、「外務省 海外安全アプリ」というのがスマホ用であるので、インストールして設定すると、渡航先の情報が簡単に見れたり、渡航先で起こっていることを通知してくれたりするので、オススメである。

外務省安全アプリ

外務省 海外安全アプリ

スリや詐欺など軽犯罪中心

実は、イタリアでは凶悪犯罪はほとんど発生していない。テロもない。レイプ事件もあまり聞かない。そういう意味では、夜中以外は割と安心だ。

主にスリ、詐欺、ひったくりの類なので、知人から「とにかくあちらからやって来た奴は相手にするな。無視をしろ。まずいと思ったらすぐに逃げろ」と教えられた。

スリに関して、Youtubeにどんな手口か動画で出ていたりするので、参考までに目を通すのもいいかも。
また、上述の踏み絵詐欺を知っていたので、路上に商品を広げている場所のそばを通らなかった。あからさまに反対側を歩いた。
ホテルでは、ドア付近にダストボックスや椅子を置いて、勝手に開けられたら音が鳴るようにした。犯罪者は音を嫌がるのだ。

経済格差と南北格差

イタリアでは南北格差があり、北は経済が安定しているが、ローマから南は貧困問題があり、より犯罪が多くなっている。
同じ国でもかなり差異があり、北イタリア人がローマに行くときは「こっちは気をつけているんだからな!」を表現するためにも15分おきに振り返るという書き込みも読んだ。

ひとり旅である私は、どうしても南に行きたいわけではないので、比較的治安がいい北イタリアのみを選択した。
イタリア3大人気都市で治安がよいのは、フィレンツェ、ヴェネチア、ローマの順なのだそうだ。
治安のよいところを選ぶというのも、自衛のひとつ。

世界一の世界遺産数を誇る。だから…

全世界から観光客が殺到するイタリア。外国人が大金をかけて旅行に来るという事実があるので、人気都市は気を付けるべき。
なぜかボローニャでは何度もナンパに遭遇した。私を狙う理由がわからないが、とりあえず仏頂面で無視。

ちなみに夜のバーで隣の人と仲良くなり、飲みものにクスリを入れられ、昏睡強盗に遭うのは、若い男性と決まっているそうだ。
犯罪に男も女もない。

犯罪が懸念される地域や時間帯を徹底して避ける

現地にお住いのブロガーや旅行コーディネーターがWebでフレッシュな情報を発信してくれていることが多い。

気を付ける場所、時間など、ピンポイントだったりするので、地図にしるしをするなどして、行かないようにする。

夜にミラノ中央駅を女ひとりで歩き、羽交い絞めにされ、殴られて金品を盗られたという外務省の発表を読んだが、くれぐれも海外で日本にいるときのような振る舞いを避けるべきだ。

「日本人は金持ち」のイメージが出来上がっている

最近では、中国人のほうが金持ちキャラかもしれないが。
西洋人からすると、日本人も中国人も一緒に見えると思われる。

中国人と間違われた日本人女性がパリの地下鉄で突然暴力を振るわれるなどあったので、気を付けたい。
そういえば、マルセイユでは「ニーハオ」と声をかけられた。

パスポートが盗まれた時のために持っていくべきもの

パスポートがないと、その国から出られない。ホテルのチェックインも身分証明書としてパスポート提示がある。盗難後の旅程は再発行されるまで白紙になるという悲惨な状況に陥るし、どこででもパスポートが再発行できるとは限らなくて、イタリアの場合は、ミラノかローマに行くしかない。

しかも、比較的すぐに発行できるかどうかは、盗まれたときの用意があるかどうかで決まる。

再発行までの段取りは割愛するが、

パスポートの再発行には、戸籍謄本又は戸籍抄本が必要になりますので、万が一に備えて海外渡航時に携行することをお勧めします。

External Links>>外務省海外安全ホームページ パスポートについて

私は、これと、パスポートサイズの証明写真を持参して旅立った。

パスポートにしても、貴重品にしても、私はバッグや財布に入れたりはしない。
旅のお役立ちツール【3】防犯グッズに書いたが、財布も持たない。スキミング防止機能付きのポーチに入れ、服の中に隠していた。
ツアー参加者が美術館で作品に夢中になっていると、いつの間にかパスポートをすられて大変なことになるケースも多いようだ。
カバンには、盗られてもあまり気にならないものだけを入れるほうがいい。

ここまでやって、何か起きたらガックリくるが、結果はナンパ以外、何も起こらなかった。

外国で知らない人に助けてもらったときに学んだこと

何も起こらなかったのはめでたいのだが、いろんなトラブルに対応して、大難を小難にでき、現地の人の助けを借りながら旅程を全うしたときのうれしさは記憶に残るものだ。

海外で自分ひとりですべて乗り切れるものではない。
では、どういう人に助けてもらうべきなのだろうか? どういう人なら安全なのだろうか?

実は、初めてのヨーロッパ、しかも意外と治安の悪いジュネーブに着いた途端、早速困ってスーツケースを横に呆然と立ちすくんでいた、かつての天野川の話をしたい。

夜の帳が下りるころ、空港から電車に乗ってジュネーブの駅に着いたのだが、駅で方向がわからず立ち往生した。身の安全のために駅を出てすぐのところでタクシーに乗りたかったのに、わけのわからない方向に出てしまった。たちまち不安になり、スーツケースに手をかけて、呆然と地図を握りしめて立っていた私は、見るからに迷った海外旅行者であった。

スーツ姿の白人男性が寄ってきて英語で話しかけてきた。
英語で「どこに行きたいの?」
タクシー乗り場と言うべきか、ホテル名を言うべきかわからなくなって「え、え~~…」
男性はそのなさけない「え~」を聞くと、日本語に切り替えて聞いてきた。「どこに行きたいの?」

日本語?? ようやく我に返った天野川は、ホテル名を告げた。
なぜ私が日本人だとわかったのかさっぱりわからなかったが、日本語ペラペラの男性が「あー、そこね。じゃあ、連れて行ってあげるよ」と申し出てくれた。

さすがにしょっぱなから、見知らぬ外国人について行っていいものか?
一応、駅から15分くらいであることを知っていたから、相手を試すつもりで「何分かかりますか?」と聞いたら、似たような時間を言ったので、彼に連れて行ってもらうことにした。
どうやら逆の出口にいたらしい。彼が向かう方角も正しかった。

道中、なぜ日本語ペラペラなのか聞くと、「東京に6年働いていたことがある」という。
なるほど。そして、どうして私が日本人だとわかったのか聞いたら、笑いながら「え~~って言ったから」と答えた。

どうやら、外国人は、言い淀んだときに「え~~」とは言わないらしい。そんなことで日本人だとバレるとは思わなかった。

その方が言うには、ジュネーブの外国人は、半分か3分の1以上の割合でおり、隣がフランスということもあって、スリやら違法行為者が入り放題ということだった。

いくつかの方向を指さし、「あっちは麻薬をやっている人や売春婦が立ちんぼしているところがあるから、行ってはいけないよ」と言われた。ちなみに、そのうちの1つは、翌早朝に通ろうと思っていたところで、ぞっとした。

「夜の一人歩きは絶対してはいけないね」と丁寧に言い含められ、「食事をしたいのなら、必ず大通り(駅前)まで出て」とアドバイス。
「私、ジュネーブは治安がいいと思っていましたが、そうではないんですね」
「日本以外はどこも泥棒だらけだよ。ここ以外は、どこへ行くつもり?」
「マルセイユ、パリ…」
「マルセイユ!? 友だちがいるの?」
「ひとりです」
「あんなところにひとりで行くの?…ジュネーブどころじゃなく、もっと危険だよ」
「どう危険なんですか?」
「少数民族がいて、仕事がないような人がうろうろしているから、そういう場所には近づいてはいけないね。夜は外に出てはいけないね」

それにしても、現地に降り立った瞬間、奇跡的に日本語ペラペラの人が現れて助けてくれた上に、私に旅の心得を言って聞かせるという。。彼は白人の皮をかぶった神様なのではないか? 彼の言葉を海外でのバイブルとしようと心に刻んだ。

ホテルに着いた。
「本当にありがとうございました」
「どういたしまして」流暢にそう言って、後ろを振り返らず、名乗らず、小雨降るなか戻っていった。
私は、彼をしばらく見送った。

そのような経験をして実感したのは、心からの親切で行動してくれる人というのは、名乗らない。名刺も切らない。そして、どこかへ飲みに行ったりするようなシチュエーションにはまったく至らず、お礼を言うと「どういたしまして」と言って、速やかに去っていくということ。

親切を装って人助けし、その流れから飲みに行き、おかしなことになる話もあるけれど、どうしてただの親切心の人が名を名乗ったり、深い交流を申し出るのか? 治安の悪いところに住んでいた人も言うが、親切な人は、それを終えると「じゃあ」と言ってにこやかに去っていくのだ。

治安のいいところでも夜中に騒ぐ、夜中に喧嘩するというところも見たし、物乞いの若い女性が泣きながら助けを求めているけれども、無視されているところも見た。
手助けするほうも、相手を見ているということ。当然だが、人を信用するのも、相手から助けてあげようと思われるのも、お互いの意見の一致が合って成り立つということは言うまでもない。

タイトルとURLをコピーしました