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春キャベツでザワークラウト作り…数々の失敗を乗り越えて

ザワークラウト お気に入りの酒と料理話

日本ではまともなザワークラウトが手に入らない…ならば自分で作るしかない

「ザワークラウト」というドイツ式のキャベツの発酵食品があるのをご存じだろうか? 2016年の秋にTV番組でアイドルが「乳酸(菌)キャベツダイエット」をして2週間で4キロ近く痩せたという紹介があった。それこそがザワークラウトなのだ。

乳酸菌のほのかな酸味があって、脂ギッシュなソーセージの付け合わせにピッタリ。ドイツ旅行中にビールを飲みながらその素晴らしい味に感動したものだった。保存食なので、日本でいう漬物なのだと思う。

ザワークラウト

だが、日本では「キャベツの酢漬け」と訳されているが、ホンモノは酢など入れない。実際飲食店で注文すると、確かに酢を入れた浅漬けのようなものが出てくる。これがまた…本物のザワークラウトを知る者としてはとても食べられたものではなく、とんがった酸の風味に「またニセモノか!」と何度がっかりさせられたことか。ドイツからの輸入品でさえ、やはり酢入りなのだから、誤解されても仕方がないのかもしれない。

昨年の春に「あぁ、もう一度アレが食べたい」と願った私は、「自分で作ればいいのだ」と気づき、早速ネット検索してレシピを入手。なんと、塩と香辛料だけでできてまうのだ。ちょうど春キャベツが出回ったころであったので、早速トライしたのだが、成功するときもあれば、失敗するときもある。「一体、どうして?」わけがわからないまま、1年が過ぎた。

ザワークラウト作りで失敗しないために

簡単なのに、ちょっと間違うと失敗して、雑巾のようなニオイをさせ、大量廃棄するしかないという悲しい結果にショックを受けている人もいるだろう。思った通り、暖かくなった途端、5月の末にこのページのアクセス数が増えた。つまり、腐敗しやすい条件があるということだ。今回は、私なりに分析をして、゛雑巾の香りのするザワークラウト”から見事克服したので、注意事項を披露したい。

また、応用編として「ワインクラウト」の作り方とザワークラウト料理についても記載する
>>ワインクラウト★ワイン漬けザワークラウトの芳醇

基本のザワークラウト・レシピ

まずは基本の作り方。細かいコツはのちほど紹介する。

【材料】

  • キャベツ:大1玉が作りやすいかも。芯の部分は除いていたのだが、これこそ栄養価が高いとの話もあって、私は芯を千切りにして加えている。春キャベツに限ってはアリだと思っている。
  • 塩:キャベツの2%の重量
  • 香辛料:ローリエ1枚、キャラウェイシード適当、鷹の爪1本

キャラウェイシードはパウダーもあるが、ホールタイプにすること!

 

※キャラウェイシードのハーブとしての効果は、お腹にいいということ。お腹が張ってガスがたまりやすい人に最適なようだ。

また、ジュニパーベリーもよく使われるようなので、こちらはお好みで。ドイツで食べたザワークラウト煮込みには入っていた。まぁ、1玉に5粒入れればOK。ジュニパーベリーは蒸留酒ジンの香りづけにも使われている有名なスパイス。

【作り方】

  1. 外側の固い部分、汚い部分、真ん中の芯を取り除き、重量を計る:カンタンにやるコツ
    ・床に新聞紙を敷いて刻めば、散らばりを気にしなくていい。最後に散らばったキャベカスごと丸めて捨てよう。
    ・計量はビニール袋に入れた状態で計る(A)。不要な部分を切り取り、ビニールに入れてそれごと計る(B)。
    (A-B)×0.02=塩の重量(g)ザワークラウトのキャベツは洗わない!
  2. キャベツを千切りにし、2%の塩でよく揉む。とにかくギュッギュとよく揉む。
    ボウルに入れて手でよく揉んでほしい。ところで、清潔なボウルであるためには、熱湯消毒かアルコール消毒になるので、耐熱ガラスボウルがオススメだ。

こんなに簡単なのに、とても爽やかで美味しい! やみつきになり、それから何度も作ったのだが、私は4回も失敗。理由は下記の通り。

゛雑巾の香りのするザワークラウト”にしないための重要事項

コツ1:雑菌を寄せ付けないためには、漬けたキャベツを水浸しにしなければならない!

塩揉みすると、キャベツの汁が出てくる。しっかり揉むこと。重石のおかげもあり、キャベツの汁=エキスで水浸しになるのだが、重石を外すと上部が水面から顔を出してしまう。これが発酵できない箇所をつくることになり、腐敗につながる。とにかく、発酵を全体に回さねばならないので、圧をかけ続けること。
なお、キャベツのエキスは、最初クリアーな緑色。発酵が進むとキャベツが黄色くなるので、エキスも黄みがかり、最後は「黄白濁」で正解。

コツ2:キャベツは洗わない!傷んだ箇所は使わない!新鮮なキャベツを使用する!

キャベツがもともと持っている野菜由来の乳酸菌を利用した発酵をさせるため、洗わずに作ること。私はせっせと洗っていた…。
漬物というものは、塩で発酵させるものなので、シンプルに素材の良さが命。減塩してはならない。鮮度は気を遣うこと。

コツ3:滅菌や清潔な容器って難しい…だから、ジップロックで保存しよう!

ジップロックで
2日ほど経過した状態のザワークラウト

耐熱容器に熱湯を振りかけても、実際ちゃんと滅菌できているのかは不明である。それならば、容器使用をやめて、厚めのジップロック(フリーザータイプがオススメ)のLサイズで密閉するほうが確実だ。大サイズなら1玉ほど入れてちょうどいいくらいになる。

たぶん、1玉1kgくらいだろう。余裕あるほうがよい。

ジップロックに入れてから袋ごと揉むという方法をしたことがないのだが、それで袋がもろくなって汁漏れする人もいるようだ。手で揉んでからジップロックにすべき。平らにしたほうが確かに水に漬かりやすいが、漏れが心配なので、私は平らにしない。最期に念入りに空気を抜こう。

手をせっけんで洗ってから始めるべし。
また、まな板や包丁は熱湯消毒か食器用アルコールスプレーを使用。または併用することをオススメする。アルコールスプレーで流し回りもあらかじめスプレーして30秒以上置き、その後拭き取っておこう。

 

コツ4:重石いらず!ジップロック&ピクレ!

私が失敗した回は、この重石に雑菌がついていたのではないか、という疑惑もある。容器で作る場合、ラップまたはキャベツの上に重石を置いてそのものも水浸しになる。重石もキレイでなくてはならないが、難しい。これも、ジップロックならば、外気にも重石にも触れないから心配いらない。

ピクレでつくるザワークラウト

私のイチオシは、ピクレという漬物製造器…こんな重石要らずの容器とジップロック大の組み合わせ。上の緑のねじを回すと、圧がかかる仕組み。

チャックを少し開けた状態で、ギューッと押し込み、空気を抜いてからチャック閉める。この最初のギューが大事。これだとつねに水にかぶった状態。汁漏れを避けるため、ジップの口は↑に向けておこう。

サイズもいろいろあり、私はK22(2.2L)のピクレで作っている。

コツ5:1日1回袋を開けて味見

清潔な箸でとり、味見すること。もちろん、出来たても。

最初は塩気のみしか感じないが、春の気温だと2~3日目くらいで匂いが酸っぱくなり、味も酸味がするようになる。そして気泡があり、黄色くなる。液も多少濁る。それを合図に冷蔵庫へ入れて発酵を進めさせる。

最初は塩気のみしか感じないが、春の気温だと2~3日目くらいで匂いが酸っぱくなり、味も酸味がするようになる。そして気泡があり、黄色くなる。液も多少濁る。それを合図に冷蔵庫へ入れて発酵を進めさせる。

どういうのが失敗ですか? 匂いは?

くまもん
 

毎日チェックしていると、匂いも味も青臭さが取れて突然塩気がなくなり、酸味を感じるので、発酵できたかどうかがわかる。

「ちょっと雑巾臭…どっちなの?」程度の場合、注意事項のとおりに作ったならば、たぶん大丈夫。冷蔵庫で発酵させている間に、雑巾臭がなくなったら成功だな

ちなみに……かなりの雑巾臭のザワークラウトを「失敗か?」とオドオドしながら味見したことがある。酸っぱいとかよりも、ん~砂を噛んでいる感じ?舌がおかしいと感知したので、捨てた。

コツ6:春キャベツで作ろう!

ザワークラウトは春キャベツのほうが断然おいしい。柔らかく、水分を多く含むから、成功しやすいのだ。同じ時期に「キャベツ」と「春キャベツ」があったとしたら、迷わず「春キャベツ」を選ぶべきだ。

そして、葉が柔らかそうで、レタスのようなツヤを見たら、それだ。なるべく汚れていないものにしよう。そして外側の葉は別の料理に使うようにし、内側のきれいな部分のみ選ぶこと。

私の失敗は、6月ころからが断然多かった。やはり、普通のキャベツになると、水分の上がりが悪く、キャベツの葉で蓋しても、固いために、水分から顔を出してしまうことが多かった。しんなりできない固さなのだ。それゆえ、そこから雑菌の繁殖が起きたと思う。
新キャベツは2月くらいから出回るが、やはり、3月半ば~5月のキャベツが柔らかでおいしい。ちょっと塩揉みしただけで、汁があふれてくる。新キャベツが出てきたら1玉ずつ作って食べて、レタスのようなキャベツが出回る頃から半年分まとめてつくるのをオススメする。

コツ7:完成したら、滅菌した容器に入れて保存しよう!

ちゃんと発酵すれば、そうそう腐敗することもないだろう。完成したら、アルコールスプレーか75℃で5秒以上滅菌した清潔な容器に入れて、ラップをし、冷蔵庫保存しよう。私は熱に強いホーローの容器を使用している。

 

または、3Lくらいの大サイズのタッパーに入れる。これはニオイが浸み込むので、1シーズンで捨てるような感覚。100均でも売っている。
容器に入れるときも、ギューッと押さえつける。空気を入れないように。

ザワークラウトは半年保存できるそうだ。清潔な箸で取り分けること。また、ちょくちょく状態をチェックしよう。

また、重要なことだが、汁に浸っている部分と使っていない部分をずーっと放置するのはNGだ。これも腐敗しやすい箇所を作るに等しいからだ。一度良い菌が回っているとはいえ、長期保存するなら、適度に混ぜて良い菌を全体に回すのが最大のコツ。

これは果実酒や酢漬けを作るときも同じことが言える。果実がエキスから飛び出したまま保管したら、そこから腐敗する。

どうしても失敗する方は、最下部「そして、室温25℃を超えて再びザワークラウト失敗」の項を読んでいただきたい。

3年目でわかったこと:”腸活”

間違いなく私の”大!”が違う。”ダイ!”って、”大!”のこと…。もともと便秘でもないが、気づいたことがある。私の場合、とにかくすんなり出てくれるようになる。やわらかめになるのだ。

半年分のザワークラウトがなくなって、いつのまにか「なんだかなぁ、出方がイマイチなんだよな、最近」と思っていた。それが、ザワークラウト食を再開すると、また「いい感じ!」の”大!”になる。そこで先日、「お!ザワークラウト食のおかげか」とようやく気づいたのだ。
もしもジヌシ(痔主)なら、良い助けになるかもしれない。

ちなみに、量は朝晩もしゃもしゃ食べるくらい。たっぷり作って、たっぷり食べる。納豆に混ぜたりして。必ずしもご飯はいらない。その場合は、醤油少な目にして、もしゃもしゃ食べる。一年分を保存することができたら、春キャベツでたんまり作るのに…。

そして、2018年は酷暑すぎたのか、保存に失敗したのか、盆明けに腐ってしまった。色が下記のように少し茶色く変色。味も微妙。こののち、おなかを壊す。。

そして、月末には明らかにカビが生えていた。皆さん、下記にも書きましたが、違和感って、大事だね。

ザワークラウト話あれこれ

そもそも、ザワークラウトは簡単な料理である。ドイツでは冬を乗り切る保存食として、昔から作られていただろうし、多少粗めに切ってOKなので、ザワークラウト作りは男性の仕事だったという話もある。難しいわけがあるまい。
サランラップやジップロックもなかったはずである。

とすると、一番のキモは、水分量と鮮度ということになろうか。塩も不足なく入れていることが大事。

なぜか発酵すると、塩気はほとんど感じない。塩とは摩訶不思議なものである。そして、煮炊きした塩は体に良くないが、「発酵した塩は体にいいので、どんどん摂取せよ」という人もいるくらいである。

オススメの食べ方

さて、オススメの食べ方だが、豚料理の付け合わせにするのは当たり前。

私のイチオシは、納豆に混ぜること!
爽やかでミョウガのトッピングを超える美味しさがある。納豆、ザワークラウト、アボカドの組み合わせは実に美味。ザワークラウトをたっぷり入れて召し上がれ。醤油も少なくてOK。
また、納豆に酢を少し足すと、さらにヘルシーなので、ザワークラウトとともに下記のすこぶる健康に良いリンゴ酢みかん酢を足すこともオススメしておく。

魚も意外と合い、特にイワシのオイルサーディンとともに食べると、たまらなく旨い。

ザワークラウトとオイルサーディン

味噌汁やスープに入れると、味に深みが出る。

もし、煮込むならば、一度さっと水で洗うか湯通しして水を切り、コンソメなどで煮込むとエグミが出にくい。火を通すと、乳酸菌は死ぬが、それでも発酵による栄養価はあるとのこと。私は、玉ねぎ、ザワークラウト、豚肉の煮込みが優しい味で好き。適度な酸味と旨みがよい。

この水洗いまたは湯通しの工程を省くと、まんまとエグいし、美味しくない。

そして、室温25℃を超えて再びザワークラウト失敗

成功例と失敗例の画像をお見せする。

2018年5月某日。室温25℃を超えた日にザワークラウトを仕込んだ。数時間後にはすでにエキス(汁)が茶色く濁った。「早すぎない?」というスピードで茶色く濁ったのだ。そして翌日、たった1日なのに、塩味が消えた。通常だと、丸2日目に塩味が消えて冷蔵庫にしまうのだが、「もうできたの?」と。

おかしいと思った。この写真の上部袋入りがその茶色い3日目の色。右下がその中身。
そして、左下が成功のザワークラウトだ。色が違う。キモイ…こういうのを違和感と言う。

ザワークラウト失敗
ザワークラウト失敗例と成功例:色の違い

明らかに、右側のものは、失敗の腐敗ザワークラウトだった。食べたら、塩味が消えているが、妙な味がする。渋みだ。
すかさず吐き出し、うがいする。
匂いはそれほど悪臭がしない。見極めは難しいが、通常とは違い、1日で茶色になり、ブクブクの泡。食べれば砂を噛んだような妙な味。

作りなれた者にはすぐわかった、これは失敗。やはり高温の室温下ではやめたほうがいい。

あぁ、残念。やり方よりも、室温が原因だったのかも。キャベツも部分的にきれいじゃなかったし、質も低下していたのかも。
初夏から夏でのザワークラウトづくりは、不向きだと思う。

さて、ザワークラウトを作り続けて丸4年が経過した。
やっとわかったことがいろいろあり、応用編を別頁で語ろうと思う。ついに天野川は完成形に到達したかもしれない。これならザワークラウトづくりに失敗しないであろう方法と、格段に旨くする「ワインクラウト」なるものを下記で紹介する。応用編なので、基礎を知らねば意味がないことはお断りしておく。

>>ワインクラウト★ワイン漬けザワークラウトの芳醇

6月7月につくるオススメの発酵食品がある。シソ、ナス、キュウリ、ミョウガと塩のみ!

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