戦争と集団ヒステリー
かつてお話したとおり、私は大学時代、プロパガンダをテーマに研究した歴史オタクである。当時は「プロパガンダって何?聞いたことない」という時代だったので、今のように誰もがプロパガンダを知るようになったことは、実に感慨深い。
「プロパガンダ(宣伝)とは」を過去の記事で説明しているので、定義などは下記を参照してほしいのだが…21世紀というこの時代、戦争によって大衆操作の当事者になった私たち。どういう立ち位置でいるべきかを肝に銘じるときがどうやら訪れたらしい。
本題に入る。
私はプロパガンダを学んだ者として、2022年2月下旬から始まったいわゆる「ウクライナ戦争」の様子を見て、腰を抜かさんばかりに驚いている。
ストレートにモノ申す。
大衆が見事に集団ヒステリーを起こした。原因は欧米によるプロパガンダである。
ほとんどの日本人がウクライナを日本の未来のように想像したのは理解できる。
次は我が身か?と。それを許してはいけない、正当化してはいけない。…確かにそうなのだ。
しかし、とにかく「ロシアは悪なので、侵攻された側のウクライナは善で、何も悪いことしていないのに一方的に侵略されて可哀そう。NATO様に入れてもらうべき」という偏りっぷりはいかがなものか。
_(꒪ཀ꒪」∠)_マジかよ…
NATOが善良な組織だってかぁ?
NATOの話はあとでするが…まとめるとこんな感じか。
「ロシアならやると思った」「プーチンは独裁者だから侵攻の理由なんて考える意味はない」「ロシアは嘘つきで信用できない」「終戦後、独ソ不可侵条約を破って日本に侵攻してきた。そういう国だ」「シベリア抑留を忘れたのか?」「ソ連時代から変わっていない」
さらに唖然としたのは、プーチンさえ殺せば北方領土が還ってくると思っている人までちらほらいること。一人の人間がすべてを掌握しており、その独裁者が死ねばすべて解決するという思考らしい。
一方が悪で、もう一方が善にきっちり分けられている。ロシアがなぜそのようなことに至ったのかを分析しただけで、一般人が目を三角にして「ロシアの肩を持つのか!」とワーワー発狂し、「お前は親露派だー」と口封じをする。面白いことに、本人たちは言論弾圧に与しているとは思っていない。そういうレッテル貼りを行う人たちはウクライナに心寄せる心優しい同情者であって、知らぬ間に無償で世論を作り上げる功労者になっているに過ぎない。
そういう風景を眺めていて、「鬼畜米英」という言葉を思い出した。現在は「鬼畜露」というわけか。
道端に米英の似顔絵を線画で描き、この絵を熱心に踏みにじっていかねば「お前は非国民」と言われたのはわずか80年前のこと。
あの頃から何も変わっていないんだな
次は竹槍がでてくるかもネ
プロパガンディストの高笑いが聞こえる
見事である。
こんな優等生を作り上げたプロパガンディストにしてみれば、もう笑いが止まらないだろう。タダで思い通りに動いてくれる素晴らしい人々だ。どんなにか心強い存在であろう。
この状態は日本だけではない。欧米、つまりNATOなどに与する西側諸国を中心に、このような論調で世論が押し切られている。
まるで群れから外れそうな羊を戻すために、同じ方向の主張だけを垂れ流しているようなものと言えるかもしれない。その逆を行こうとすると、糾弾され、バカ扱いされる。
イタリア在住の方の話によると、ロシア文学のドフトエーフスキーの文学講座が取りやめになったり、ロシアの富豪が所有する北イタリアの別荘やヨットを一方的に接収したりと、やりたい放題。ロシアが悪いのだから、ロシア人には何をやってもいいということだろうか。
ロシア文豪の作品に罪はないだろうに、全くのヒステリーと言ってよい。そして、ロシア人というだけでその所有物が取り上げられて、おまけにそこで働いていたイタリア人たちは職を失うというオマケ付きである。富豪は二度とイタリアで投資することはあるまいし、税収も入らない。
イギリスでもロシア富豪の家が活動家によって占拠されたニュースを見たが、殴りこんだ人が取り締まられることはないらしい。世も末だ。
テニス界では、ロシアとベラルーシの選手がウインブルドン出場を排除される話まである。
ロシア選手のメドベーデフが何をしたというのか?今年のウインブルドンでメドベーデフが優勝すれば、彼は世界ランクNo.1になるだろうが、それが気に入らないのか。。
イジメじゃないの?
差別とも言えるね
凄いのは、この排除を正しいとする人が多いことだよ
WW2のとき、日系アメリカ人は収容所に入れられたな
敵国の民族というだけで
人間ってバカなんだな
成長しない、学ばない
絶望しちゃうよ
日本も負けてはいない。
自衛隊を国軍にすらできず、防衛費も削られ、敵を攻撃することすらままならない国である。そのあたりの議論も対策も一切せず、国民に信を問わず、勝手に対ロシア制裁を真っ先にやってのけ、自衛隊機をウクライナに飛ばす度胸が凄い。しかも、ロシアから敵国扱いされても危機感ゼロ。
「経済制裁は武器を用いない戦争」と言われている。このことを理解しない人が圧倒的多数を占めているのがこの国の現状なのだ。
ロシア制裁によってロシア禁輸となった場合、魚介類が入って来なくなるニュースを読んだが、恐ろしいことに一般人は「食べなくても別に困らない」「仕方ない。そういう封じ込めをしないとロシアを懲らしめることができないのだから」と他人事。
魚介類が入って来ないと困る業者が出るのだ。すると、事業が行き詰まり、路頭に迷う人が出る危険がある。そういう記事を読んだうえで、それも仕方ないと皆が言う。同邦が困っても、「我慢せーや」と言えるのだろうか。
さらに、安価なロシア産の木材が入って来ないというニュースも深刻だ。住宅に使用する資材が枯渇することになる。代替するにしても、今以上の仕入れ値になるはずであり、そのへんも「仕方ない」と思うのだとしたら、マイホームの夢もリフォームの必要性も「我慢せーや」ということだが、本当にいいのか?
ロシアだから信用できない!と騒いだ人たちにお伝えしたいのだが、知床遊覧船沈没事故で行方不明者の捜索に協力してくれたロシアに一言何かないだろうか?
こんな敵対関係にあるのを承知の上で、協力すると言ってくれた。
実際に、「人らしきものを見つけたが、波が荒くて見失った」と情報もくれたし、所持物を海から拾ってそれが一人の乗船者のものだとわかった。そういう協力までしてくれたのだが、この報道ではロシアが報告してきたという以外、何も触れなかった。冷たくて荒い海をわざわざ捜索してくれたことには一切触れない。報道がそもそも恣意的に思えた。
「そもそも北方領土は日本のものだったのだから、そこが日本だったらロシアの世話になっていない」というダメ出しが出てきそうだ。どんな相手であれ、礼を述べる姿勢こそが日本人らしさと思うが、どうだろうか。
ロシア人を悪魔化している。一生懸命「人でなし」という方向で報道されていることに気づかされる。
大本営発表を信じたいのはこんな人
言ってほしいことを言ってくれないと怒り、言ってほしいことを言うと喜ぶ人が何と多いことか。そういうわけで、TVがそのへんを配慮して人選をかいくぐった専門家を呼ぶ。
ロシア悪を煽る⇒日本人怒る⇒日本がウクライナのATMになる⇒ロシアの敵国になる⇒日本人怒る⇒ロシア禁輸⇒日本困る⇒ロシア悪
ジャーナリストの山口敬之氏が先の衆院選のとき、「なぜあなただけ予想が的中して、ほかの人が予想をはずしたんですか?」と聞かれて答えたのは、「願望を予想にするから当たらないんだ」ということ。
なるほど。
願望を予想にして、
安心してるだけかもね
願望を言ってくれないと怒っていないか?
願望と反対の話を「デマ」だと断じてはいないか?
正しいことだと思いたいのはわかるが、国益を冷徹に見つめたのか?
ロシア外交官を追放したことにも腰を抜かさんばかりに驚いたが、これに対して「よくやった!」と絶賛する人が多いことに、これまたおったまげた。いいことしているんだぜ状態に唖然とした。
ビンタ張りに行ったの?
戦争前夜の行為じゃないか…
ロシアはお返しに、日本の在ロシア外交官を同じ数だけ追放した。さらに岸田総理はじめ63名の日本人を「無期限入国禁止」と決めた。
それに対し、キッシーが「断じて受け入れられない」とは笑ってしまう。
威勢のいいことしておいてさ、
こんなみみっちい程度の報復で
発狂するとか勘弁してw
憲法改正して国軍を整えてから
ビンタ張りに行けよな!
順番ちがうだろ!
デカップリング後の日本は弱い立場になる?
日本は西側諸国に追随していれば安心だと思っているフシがある。EUにしても、NATO諸国にしても、国連の常任理事国に名を連ねる国も多く、この数百年に渡ってずっと経済大国であったのは事実。それをいいことに、いつまでも「侵攻したロシアが悪い―」「どっちがー」というそもそも論から思考停止している間に、「あら…」と思う事態になりはしないだろうか?
改めて確認してほしい。実は、ロシア制裁を決めた国よりも、ロシア制裁を見送った国のほうが圧倒的に多いのである。
ロシア制裁をする国に日本はもちろん、NATO諸国ら欧米諸国があるわけだが、一方制裁しない国といえば、中国、インド、東南アジア、南米、アラブ諸国…つまりほとんどの国がアッチ側と言っていい。
どう見てもわが日本は多数派にいないという現実がある。
日本では報道されていないが、NATOにメタクタにされた国々はロシアに同情しているようだ。だから制裁しないとも言える。
日本のマスコミ報道とSNSの論調を見ると、全世界が反ロシアで結束していると信じて疑わないのではないか。
くどいが、敵国または非友好国になった日本は、ロシアから「優遇しないよ」で済めばマシであるのだが、外交官追放したからには、それなりの覚悟があると判断されているはずだ。他国よりも資源が少ない国という点からもより深刻であるが、それを理解せず何の覚悟もないままに行動しているようにしか見えない。
それにしても、この円安は異常なんだが…
戦争当事国の通貨は下がると言われているんだけど、
日本は経済制裁をした瞬間から戦争当事国と思われているって話があるよ
有事研究者の苫米地英人博士がそう指摘しているね
自覚ないのがイタイ
気づいたら日本は貧乏国になっているかも
ネット番組を見ていたら、山岡鉄秀氏がこういう日本の現状を素晴らしい表現で述べた。
のび太が「ロシアのバカヤロー」と言っている
日本の備えに対する討論で、彼に言わせると今の日本は参戦行為しているくせに何もわかっていない「無自覚ののび太」というワケだ。(↓動画の頭出し済み)
3.11のとき米軍「トモダチ作戦」を遂行したエルドリッヂ氏にまで「冷静になれ」と心配されている日本。
親ウ保守論壇が真っ先に唱える話
ウクライナを絶対善として、とことんロシアをディスり、ウクライナの情報しか認めない保守論壇がいる。願望とは違う情報が来ると、「ロシアのプロパガンダ」ということでデマ扱いをしている。
やはり保守は団結が難しいらしく、まんまと分断工作に引っかかり、真っ二つに分かれた。ほとんどが「ロシアの味方をするとはけしからん」と口角泡を飛ばす。
一般人ならば構わないのだが、一方だけの報道を正とする危うさたるや、見ていられない。
プロパガンダは情報を遮断し、一方の話だけを信用させる。これが王道なのだが。
最初にも挙げたが、典型的な論調としては↓こんな感じだろうか。こういうソ連とロシアをごっちゃにして「だからロシアは許せない」という論調をよく見かける。
シベリア抑留、ポツダム宣言後に千島列島に侵攻したソ連の件を忘れている日本人がどこにいるのか?
それはさておき、これらのことを見て不思議でならないのが、ソ連の卑怯なまでの宣戦布告はヤルタ協定の秘密条項にある。アメリカ(フランクリン=ローズヴェルト)・イギリス(チャーチル)・ソ連(スターリン)の三国首脳による戦後処理に関するヤルタ会談において、事前にソ連の対日戦参加を決定し、戦争終結への方向付けで合意されているのだ。
つまり、ソ連の独断で侵攻したり宣戦布告したのではなく、英米がOK出しているのだ。
下手人だけを悪という論理はおかしい。
もっと言うと、当時のソ連とロシアは違う。為政者の6~7割がロシア革命後に為政者となったユダヤ人であり、ロシア人のほとんどは支配される側のスラブ人というわけだ。しかも、そのソ連にウクライナも含まれているわけで、同じ穴の狢なのである。
レーニンはユダヤ系。ここにいないが、トロツキーもユダヤ人。
ちなみに、スラヴ系の国民からしたら、ゴルビーとエリツィンは国の資産を欧米に売り渡した売国奴だそうな。
日本人はソ連・ロシアに悪感情を持っているが、親米傾向にある。
戦後に「ギブミーチョコレート」と言ったら米国人がモノを恵んでくれたとか、同盟国になって日本を守ってくれていることで、親米意識が湧いたのだろうが、ちと英米のやらかしを忘れすぎていないか?
原子爆弾を平気で落としたのはどこの国か?
無辜の民を焼夷弾で焼き殺したのはどこの国か?
戦争を早く終わらせるために必要とか嘘ばかり言っていたが、現実はそんなことをしなくても日本は前々から終戦を模索していたのだ。打診していたのだ。それを突っぱねて戦争を長引かせたのはどこの国か?
戦後、GHQが日本を弱体化させるために徹底した自虐史観を日本人に植え込み、国の権力を次々と奪い弱体化させて、最近に至っては民営化によって国の富を外資に売り渡しているのだが、日本人を財布代わりにしているのはどこの国か?
ロシア悪プロパガンダ
「ロシアとウクライナのどっちがー」などという話で終わらせたい腹黒い奴がいる。
戦争したがりが軍需産業を富ますためにウクライナという土地を選び、戦地にした奴がいる。
ロシアはもともと信用できない国で、国土を拡張したがっていたから、ついにやらかしたのだと言いたい奴がいる。
戦争を止めようと思えばできたのに、「アメリカは軍を派遣しない」と最初から宣言したおかしい大統領がいる。
ウクライナは政治腐敗した弱小国なのだ。
>>腐敗認識指数 国別ランキング・推移:180か国中122位
その国にネオナチがどんどん入り込み、欧米の企業が悪だくみをし、国際金融資本家が武器や金を供与してロシアを刺激した。戦争へと駆り立てる目的で2014年ウクライナ暴力革命を起こし、東部でロシア語話者を虐待、同じ国の者同士が殺し合いするのをたきつけた。
このプロパガンダはロシアが暴発してウクライナに侵攻させる目的で始めている。そしてそののちにロシア悪を喧伝し、ロシアへの経済制裁による締めあげ、プーチン体制崩壊、ロシア崩壊、最後にロシアの資源を国際金融資本家がかっさらうというオチが待っている。
その黒幕を見ずに「ロシアが悪い」で終わらそうとしている者にこそ目を向けねばならない。
どっちがーという話か?双方からモノを見ずに日本の国益を守れるだろうか?
恐らく「親露派」「デマ」という論調で押し通したい者たちは真実に目を向けられて困る輩である。それさえ見抜けば、彼らのプロパガンダなど、手に取るようにわかるはずなのである。
善悪二元論で口を封じ、思考停止へと誘導
2022年2月24日以降、メディアのヒステリー誘導を見ていてずっとモヤモヤしていた。
そして、ひと月以上が経ち、その理由がようやくわかった。
当時は、鬼畜米英に降参したら、女子は犯され、国土はなきものになる…そういう刷り込みがあったので、挙国一致で最後の1人まで戦うという意思統一が図られたのだった。
参考
いろいろ話したが、ウクライナ戦争がなぜ起きたのかをあまり説明していない。この話の目的は、プロパガンダに飲み込まれる要素、過程を明らかにするのが目的であったからだ。
しかし、このような展開をしたからには、最後にこの戦争の根幹を解き明かしたと思われる動画をいくつか紹介したい。
私が参考としたのは、政治アナリスト伊藤貫、ジャーナリスト山口敬之、元外交官馬渕睦夫、危機管理コンサルタント丸谷元人、歴史家渡辺惣樹、有事専門家苫米地英人ら諸氏の話が主である。どの方も英語ができ、海外生活を普通にしてきた国際人である。
なお、苫米地博士においては、脳機能学者でもあり、プロパガンダから進んだ「認知戦」という概念を丁寧に説明されているので、下記を視聴することをオススメする。ここでは載せなかったが、敵国条項、戦時プロトコル、国際法違反など、戦時のプロとしてあらゆる有事の事象を説明されているものもあるので、そちらで勉強されるとより理解が深まると思う。
米国の対ロ(ソ)政策とロシアやウクライナに何をしてきたのかについてダイジェストはこちら。
最後に、大人気作家である山岡荘八先生の『小説 太平洋戦争』も参考に上げたい。
山岡先生はあの『徳川家康』『独眼竜政宗』の著者で、太平洋戦争時は従軍作家であった。特攻隊を涙ながらに見送った経験を持ち、戦後はもう生きてはいけないと思い詰めて死のうとしたのだが、筆をもって彼らの弔いを決意する。下記は「小説」という冠をつけているが、フィクションというレベルを超えて相当に資料を調べつくし、アメリカという国をえぐっている力作である。
この本を読んだ人は、まさかこの茶番を信じてはいないと思う。
どの話も同じであるが、鵜呑みを勧めているのではない。誰が何のためにそれをしたのか、それを考えるヒントにするための資料なのである。
私たちは神ではない。それゆえ物事の一端しか見ることができないのだ。それでも真実に迫ろうとする気骨のある人がおり、彼らのエッセンスを知ることが日本を守ることになるのだと信じている。