【Portico】屋根付き回廊の美意識

イタリアを旅すると誰もが目にする「ポルティコ」または「ポーチコ」ともいう美しい屋根付き回廊をご存じだろうか? 日本で言う、アーケードのこと。こちらのアーケードは歴史的な街にふさわしく、とても芸術的だ。

ポルティコ

ボローニャのポルティコ

屋根付きの建物の玄関でもあるし、柱のあるポーチでもあり、屋根がある構造の回廊のこと。

イタリアのポルティコといえば、ボローニャとトリノが有名。今回は、そんなポルティコの街歩きを紹介する。

ヴォールト天井にしたのは、流行りか美か、それとも合理的理由か

この芸術的な屋根がある構造の回廊…つい屋根に着目するが、柱だってそれは美しい装飾を施されており、「イタリアではこんなところにまで芸術にしたのかしら」と感心する。

いろんな屋根があるけれど、基本的に「ヴォールト天井」が多いと感じた。

教会でよく使われているアーチの天井。下記は、サン・ペトローニオ聖堂 (Basilica di San Petronio)の内部。ポルティコと教会の天井は見た目が同じ、よね?? これがヴォールト天井。

サン・ペトローニオ聖堂

ボローニャ サン・ペトローニオ聖堂 の天井

>>Wikipedia

ヴォールト(英語:vault、ラテン語:camera、アラビア語: قبو)とは、アーチを平行に押し出した形状(かまぼこ型)を特徴とする天井様式および建築構造の総称。…(略)広い空間を柱の数を少なく支えることができる。アーチ同様、小さな部材同士の圧縮軸力で構造が成り立つ性質をもつからである。

ヴォールト天井は、見た目の流行りや美しさだけの理由で、この天井にしているところが多いのかと思っていたが、意外や意外、力学上こうすることで、柱の数を減らすことができて、一石二鳥ということのようだ。
ヨーロッパでヴォールト天井をよく見かけるその理由がわかっただけで、少しうれしい。

ボローニャのポルティコ

北イタリア、エミリア=ロマーニャ州の州都、ボローニャはいろんな顔を持っている。

赤い街。これは、大理石が採れないから、そこの土をレンガにしているため。この色は、この土地の色なのだ。

ボローニャの街並み

イタリア人の胃袋を満たしてきた穀倉地帯としての顔、バルサミコ酢・ハム・ボロネーゼなどが有名な美食の街、絵本の国際見本市でも有名。
歴史的にはヨーロッパ最古の大学「ボローニャ大学」があり、法学、さらにはキリスト教会の反対を押し切って、人体解剖をした大学でもあった。各地から優秀な学生たちが集まってきた都市でもあるのだ。

中世、その学生たちの住まいが足りないということで、通りに張り出すように2階を増築したので、まるでアーケードのようになったのだという。そういうわけで、いろんなところにポルティコが張り巡らされ、市内中心部だけでも38km、全体では45 km 以上に及んでいる。

ボローニャ旧市街俯瞰図

ボローニャ旧市街俯瞰図

だから、ボローニャの旧市街地を歩いていると、たいてい屋根付きの歩道ということになる。雨を気にしなくていいし、日差しも遮ってくれる。とてもありがたい屋根付き柱廊なのだ。

本当にたくさん写真を撮ってきたので、その一部をご覧いただきたい。

旧ボローニャ大学のポルティコ

旧ボローニャ大学アルキジンナージオ宮

ボローニャのポルティコ

カフェなどで賑わっている。

ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ ボローニャのポルティコ

元は学生たちや港運の発達などによる人口増加から住居不足になって発達したポルティコ。

その後、13世紀前半に法整備がなされ、新しく館を建設する際には必ずポルティコを併設することや、ポルティコ部分は開放し、その整備は所有者の義務とすることなどが定められた。つまり、所有者は、実は個人である。

だから、美的センスやお金のかかり方が違うのだろう。実用的な理由から増え、街の特徴となった美しい慣習といえる。

トリノのポルティコ

さて、冬季オリンピックで有名になったトリノの街のポルティコはどんな感じだろうか。
サヴォイア家のもとで発展した古都トリノは、王宮群とともに宮廷文化の名残が街中にあり、ポルティコは貴族が雨にぬれずに買い物できるように、と作られたものである。

トリノのポルティコ

トリノのポルティコ

だから、なんだか、同じ歩道でも道幅が全然違う。

トリノのポルティコ トリノのポルティコ

どことなく、大きくてゆったりしているのがお分かりだろうか?
ボローニャのポルティコは居住の確保のためにつくられたが、ここトリノのそれは、貴族が「雨に濡れたくないわよ!」という理由で張り巡らされたのだった。

トリノのポルティコ

トリノ中央駅。もちろん、ポルティコ付き。

トリノのポルティコ

寝ているのは路上生活者。

トリノのポルティコ トリノのポルティコ トリノのポルティコ トリノのポルティコ トリノのポルティコ

皆さんの服装なども、これまでの都市とは違って、お金持ちの雰囲気がある。

トリノのポルティコ トリノのポルティコ

どっしりとしている印象。

トリノ旧市街に全長18kmに渡って造られたアーケードは大きな傘であり、その下でカフェで人々が談笑し、とても楽しんでいる。

ある晴れた休日、トリノ旧市街から出て、ポー川のほうに行くと、みんな公園に向かって歩いていたので、ついて行ってみた。

公園でくつろいでいる人々がすごく多い。
ポルティコの傘の下から出て、日光浴?

5月のこんな快晴の日は、外にいたいよね。
トリノっ子に交じって、ブラブラ。なんか、山の上に教会があるみたいだから、行ってみよう。

トリノ

ポー川の向こうは、トリノっ子のお住まいだろうか。雰囲気がとてもいい。

Monte dei Cappuccini(モンテ・デイ・カプチーニ)山に登った。
サンタ・マリア・デル・モンテ教会が山頂にあり、地元の方だろうか、人気のスポットのようだ。

お目当てはこれ。トリノ市街を見晴らす、素晴らしい眺め。

サンタ・マリア・デル・モンテ教会

サンタ・マリア・デル・モンテ教会からの眺め

サンタ・マリア・デル・モンテ教会

サンタ・マリア・デル・モンテ教会

夕方近く。川岸あたりに戻ってきた。
晴れの日は、みな緑と太陽を求めている。観光地ばかりを巡ったイタリア旅行だったが、こうして住民の方の満たされた顔を見れたことに満足した。トリノとは、そういう地域なのかもしれない。

 

>>【トリノ王宮の武器庫】中世騎士の美意識