新型肺炎は知らぬが、肺炎にかかったことがあるから言わせてもらおう

2020年早々から、日本も世界もコロナウィルスやら新型肺炎の話でもちきりである。
この未知なる新型肺炎のことはニュースレベルでしか知らぬし、このウイルスの深刻度に関して語る気はないのだが、私は2年前の冬に普通の肺炎にかかり、死ぬ思いをしたことがあるので、肺炎がどんなにしんどいものかを知っている。であるがゆえに、それらしい症状を訴えた”若い”人たちが適当に扱われているのを知って、かなり憤っている。

感染症の専門家たちは新型肺炎に対し「軽い」「大したことない場合が多い」「老人や持病を持った人たちは重篤化する」などと言い、「正しく恐れろ」とかどうとにでも取れることを言ってタカをくくっているようだが、彼らは罹患したことないから肺炎のしんどさを知らないのだろう。軽い肺炎を罹患した者としてこれだけは言わせてもらう。

もし100年前であったら、私は助からなかっただろう。肺炎で死んでいたはずだ。薬があったから死なずに済んだ。老人がかかったら簡単に死んでしまうはずだ。

このことである。軽度で入院の必要がなかった私でさえ、現代医療でなければ、危なかったと感じたのだ。

助かるとか、助からないとか、重篤になる、ならないの話ではない。肺炎にかかるということは、風邪をこじらす程度のダメージではなかったということ。たったの一例の体験談ではあるが、肺炎にかかったらこうなる(人もいる)ということを知ってほしい。

当時、私は何件も病院をハシゴし、そのたびにどんなにしんどいか訴えたが、咳止め薬を処方される程度で、聴診器を当ててもくれなかったときの話をしようと思う。

40代前半・持病なしの私が罹患し、軽度肺炎になった体験談

当時体温を毎朝測っていたので、それも併せて時系列で紹介する。普段の平熱は36℃台前半である。

違和感を感じる前の私は、頻繁に軽い風邪をひいてはいたが、しんどくはなく熱もなかった。

  • 2016/12/11 36.44℃ 風邪をひく、薬飲む
  • 2016/12/12 36.26℃ 風邪をひく、薬飲む
  • 2016/12/13 36.36℃ 風邪をひく、薬飲む
  • 2016/12/14 36.25℃ 風邪をひく、薬飲む
  • 2016/12/15 36.27℃ 鼻風邪、薬飲む
  • 2016/12/16 36.29℃ まだ鼻風邪、薬飲む

ある朝に感じた異様な倦怠感

2016/12/17(土) 36.54℃ 風邪悪化

朝、目が覚めてベッドから身体を起こしたとき、これまで感じたことがないほどの倦怠感があって、さすがに違和感を感じた。
この日はインフルエンザ予防接種を予約しており、午前中にA病院へ行く予定にしていたのだが、着替えるのも「できない」と思ったほどだった。もちろん朝食を食べるということすら考えられない。食べたくないのではなく、「食べられそうもない」のだ。

食欲が失せるというのは、人生であまりないことだったから、これは普通ではないと感じた。熱を測るものの、問題なしの結果に首をひねる。

予約したからには体を引きずってでも行かねばならぬ。葛根湯をカンフル剤に使い、なんとか身体が動かせる状態になったのを幸いに、徒歩10分のところにある病院に着いた。

「先生、私風邪をひいたみたいなので薬出していただけますか。熱はないです。今朝はすごくだるくて、しんどくて。今日はインフルエンザ予防接種なんですけどね、熱ないから打っても大丈夫ですよね?」

「しんどいの?」

「はい。今までに感じたことがないくらいしんどかったです。葛根湯飲んだら歩けるようになりましたけど」

「じゃぁ、やめなはれ」

「でも、今日じゃないと、予防接種できそうにないんです」

「でも、しんどいんでしょ? 僕はね、いつもこう言ってるの。『しんどいですか? しんどくないですか?』と。しんどくない人には打ってる。多少熱があったり、咳があってもね。この時期咳があるくらいでやめてたら、誰にも打てない。でも、しんどい人はたとえ熱がなくても『やめなはれ』と言ってる」

この医者の基準に説得力があり、予防接種はキャンセルした。こういう判断はありがたかった。もしこのときインフルを注入されていたら、どうなっていたのだろう。こののち肺炎に至るのだが、改めて想像すると少し寒気がする。

  • 2016/12/18 36.52℃ 「風邪、薬飲む」
  • 2016/12/19 36.19℃ 「薬飲む」
  • 2016/12/20 36.28℃ 

数日は平熱であった。

38℃以上でないと医者は相手にしない!

私はインフルエンザにかかったことがない。風邪はよくひくが、不思議と高熱を出す病気には縁がなかったので、漢方薬で治すのが常であった。だから、インフルエンザのしんどさを知らないために、「この異様なしんどさは人生初のインフルではないのか?」と勘繰っていた。

2016/12/21 37.03℃ 

この日は37℃を超えていたので、仕事の合間にいつもとは違うB病院を受診した。朝から熱が出たので、インフルエンザではないだろうかと検査を所望したのだが、38℃を超えないと、検査をしても陰性になったりするから無駄であるとのこと。ゲホゲホしていたので、「咳は残るかもな」と。

体験したことのない倦怠感が17日だったから、4日後の発熱というわけだ。

2016/12/22 37.86℃ 

熱があったので、会社を休んだ。いつものA病院は定休日なので、自宅近くのC病院に行った。
いよいよここでインフルエンザ検査をする。しかし、陰性。こんな倦怠感があっても、ただの咳風邪というのか? 薬をもらって、すごすごと家に帰る。

「早めに受診したほうがいい」とすすめる人に言いたい。
私は病院を4件ハシゴした。とてつもなくしんどいのだ、と都度訴えた。しかし、37℃台だとわかると「たいしたことないだろ」と言わんばかりで、咳止めを処方してくれるものの、相手にしてもらえなかった。胸に聴診器すら当ててくれなかった。咳がひどかったのに。それ以来、咳があるのに聴診器を当ててくれない医者は信用しないことにしている。

  • 2016/12/23 38.98℃ 祝日のため、家で養生。咳がすごすぎて眠れない。
  • 2016/12/24 38.58℃ インフルエンザでないとすれば、ただの風邪なのか? 高熱、お通じなし、咳で夜も眠れない。
  • 2016/12/25 38.61℃ 高熱、お通じなし、咳で夜も眠れない。

頻繁に病院に行くものの、あまり真剣に取り合ってくれなかったこともあり、咳止めと解熱剤を飲んで過ごした。

ついに軽度の肺炎と診断される

2016/12/26 38.7℃ 高熱、お通じなし、咳で夜も眠れない

異様な倦怠感から9日目になる月曜の朝、左側を下にして横向きに寝ていると、左胸の辺りから「プスプスプス…」と音がした。

これは、肺炎ではないのか?

確信をもって、A病院に行く。受付で検温時、37℃台だったが、私は静かに吠えた。
「これは、解熱剤を飲んでいるから37℃台だが、家で薬が切れると39℃になる。解熱剤を飲んでいるから、抑えられているのであって、これを基準に考えるのは違うのではないのか? 解熱剤を飲まねば、私は動くこともできない」

この遠吠えを別室でドクターが聞いていた。
部屋に呼ばれ、聴診器を当てた瞬間、ドクターが驚いてこれはという顔をした。「肺炎だ」

「今朝、胸からプスプスと音がしました。肺炎だと思いました。咳がすごすぎて全然寝れません。幻覚も見るんです」

レントゲンを撮った。息を吸って~と言われて吸い込むと、激しく咳きこんでうまく静止できないほどだった。結果、左上の肺が白く写っていた。軽度の肺炎を認めた。血液検査も念のためにした。
ドクターはこれまで見たことがないほど生き生きとペンを走らせ、本気で対応してくれた。

入院の必要はなかった。処方薬は以下の通り。

  • 菌を殺すジェナニック錠:実家に帰省して別の病院で薬手帳を見せると「いい薬を出してくれたんですね」と別のドクター
  • 解熱剤ロキソニン
  • 咳止め、痰の切りの薬メジコン錠、ムコダイン錠、カルボシステイン錠
  • 咳の水薬 混合薬:指定の薬局でしか出せない都度調合
  • 咳止め貼り薬ホクナリンテープ

調剤薬局に行くと、申し訳なさそうに90分待ちと言われる。倒れそうになった。

私の肺炎の症状と特徴

肺炎の症状は高熱、咳、異様な汗の3点セットだ。ただし、風邪とは比較にならないレベル。チェックポイントとしては、異様な倦怠感というのも典型ではないかと思う。新型コロナウイルスに感染した人の症状も「倦怠感」がキーワードになっているので、体験したことのない倦怠感は要注意であろう。
私の場合は、それプラス、高熱による幻覚もあった。また、胸のプスプス音(肺音)が自分でも聞こえた。音のしない人もいるらしい。

こんな過酷な病態で軽度と言われ、重症とはどんなに苦しいのかと想像する。

あくまでも一例として、どんな症状なのか詳細を記す。

高熱の話と保冷剤で解熱させる方法

私の個人的感覚だと、12/23には肺炎になっていたのではないかと考えている。39℃近くまで上がっていたので。とすると、倦怠感から6日後のことである。まぁ、それくらいの日数かかって、肺に異常をきたすのだろう。

ところで、解熱剤はきっかり8時間くらいで効力が切れるというのをご存じだろうか? 薬が切れると途端に熱が上がり、悪化しているのがわかったほどだ。1日3回服用で24時間をフォローしてくれそうなものだが、晩飯を食べて服用すると、朝方5時あたりに効能が切れるというわけで、早朝になると具合が悪くて毎朝目が覚めた。

武漢の肺炎で苦しむ人たちが薬をろくに与えられずに寝ているとすると、気の毒でならない。

ちなみに、1日の中で熱は上下するものであるので、日に何度も測っていた。「どのくらい高熱を出すとまずいのか?」と疑問に思って、WEB検索した。やはり38.5℃を超えると要注意のようだ。冷やす部分を調べると、腋下、鼠径部とある。

高熱のときは、全身の保温に注意し、氷枕、氷嚢や保冷材で後頭部やわきの下(腋窩〈えきか〉)、股のところ(鼠径部〈そけいぶ〉)を冷やし、汗でぬれた下着はこまめに取り替えるようにしてください。
冷やす(クーリング)ときは、氷枕や氷嚢、保冷剤を直接からだに当てると冷たすぎるし、時に苦痛を感じるので、タオルなどを巻いて当ててください。当てる場所は、頭のほか、腋窩や鼠径部など太い血管が通る場所に当てると効果的です。高熱の場合は2点クーリングや3点クーリングをおこない、37~38℃のときは1点クーリングでよいでしょう。

ExternalLinks>>時事メディカル

生まれて初めて39℃を超えた。まず、突然、身体が震えるほど寒くなるのでわかる。
39℃以上の高熱が1日5回ほど出ては38℃台に下がるを繰り返したのだが、急に悪寒に襲われた段階で毎度検温すると、やはり39℃を超えていた。

すぐさま冷凍庫の保冷剤をいくつも出し、ホットストーン用の石を冷たい状態で使い、それらを首、腋下、鼠径部に当てる3点クーリングをする。しばらくすると、手足が冷えていたのに、身体の血が巡るような気持ちよさが訪れる。身体がポカポカしだし、そして大量の汗が噴出。汗かき後に検温すると、38℃台に戻るから不思議だ。

この1日5回ほど起こる高熱が恐らく治癒には重要なのだろう。身体の中で肺炎の菌と私の免疫部隊が激突していたのではないだろうか。その激突を何度も何度も繰り返して菌をやっつけていくのだと私は感じている。激突後の大量の汗がその証拠だと思えるのだ。

高熱による幻覚

39℃に陥ると、必ず幻覚を見た。幻覚とは気持ちが悪いもので、起きているし幻覚を見ているのをわかりつつ、身体が動かないためそれを断ち切ることができない。
あるときはカラフルな嫁入りの切り絵の世界が広がり、あるときはフリップをめくるタイプのパタパタ時計のように、視界が延々パタパタと切り替わり続けた。あまりにも気持ちが悪いので、身体ごとベッドから転がり落ちるかたちで、無理やり目を覚まさせたこともある。

大量の汗、生臭い汗

肺炎と診断されて、いろいろネットで調べていると、ある特徴があることがわかった。それは汗だ。上述の39℃の激突後、異様なほど大量に汗をかき、しかもその汗は今までかいたことのないほどクサイ。生臭いのだ。かく部位は上半身、それも肺の周りだ。汗がめちゃくちゃクサイという意見はよく見た。

肺が腐っているみたいなことになっているのだろうと想像する。老廃物は出さねばならぬ。そして脱水症状を避けるために、ポカリスウェットは私の命綱となった。

あまりの汗のクサさに嫌悪感を覚えるのと、びっしょりの気持ち悪さもあり、1日5回の39℃イベントのたびに着替える必要がある。身体が動かないため、ベッドの周りに着替えを置いておく。毎日洗濯しないと間に合わない。

ずっとベッドで臥せっていたが、不思議と1日のうち2時間ほど起き上がることができたので、そのときにおかゆをつくり、病院に行ったり、ポカリスウェットを買いに行ったり、洗濯機を回していた。

発熱中は、食欲はまったくなく、主食はポカリスウェット。さすがになにも食べないのはまずいので、食べたくはないが梅干しとおかゆを少しずつ食べた。たまにヤクルトを飲み、卵のおかゆはまるで受け付けなかった。それほど胃の消化機能が危うくなっていたのだろう。

肋骨あたりが痛くなるほどの咳

気管支にはどっぷり痰がからみ、咳が止まらず、夜もろくに眠れぬ日が続いていた。肺炎と診断されて、最適な薬を飲んでからは少しずつましになっていくのだが、この咳が長期に渡っており、本当につらかった。

発作のように激しい咳が出始めると、涙を流しながら、ときに軽く失禁するほど全身で咳をする。そして、肩で息をし、数日経つと肋骨が痛くなった。おそらく骨がおかしくなったのではなく、筋肉が傷んだのではないかと言われ、時とともにそれも気にならなくなった。

回復後、通っていた整体院で言われたのが、「左の背中だけがすごい筋トレしたみたいに盛り上がってますよ」だった。そして、そこを押されると激しく咳きこんだ。そういえば、正月に母が背中をマッサージしてくれたが、肺の近くを押すと、私は激しく咳きこんだ。肺炎の文字のとおり、炎症を起こし、膨らむのかもしれない。

回復期

  • 2016/12/27 37.92℃ 
  • 2016/12/28 37.61℃ 
  • 2016/12/29 37.76℃
  • 2016/12/30 37.75℃
  • 2016/12/31 37.00℃
  • 2017/1/1  36.78℃
  • 2017/1/2  36.83℃
  • 2017/1/3  36.85℃ アホなことに、正月だからといって寿司を食べる
  • 2017/1/4  36.87℃ 別の病院で薬を処方してもらう
  • 2017/1/5  36.66℃ ノロを発症。回復期は生もの厳禁である
  • 2017/1/6  36.20℃ 

薬が効いて、37℃台に落ち着き、回復しているのがわかる。こののち、1/10に病院を受診し、5日分の咳止めをもらっていて、これにて受診終了となっている。

肺炎の薬をもらってから2週間ほど治癒にかかり、年末年始を挟んだこともあって、会社をずっと休んだ。
久しぶりに出社したとき、私の頬のコケかたがあまりにすごかったので、周りに驚かれた。身体の回復のため、もっと休みを取りたかったが、そうもいかないのが社会人。
それから一生懸命食べ続けても半年間は痩せたままであった。

昔の肺炎の治し方を知って思うこと

私は、肺炎になって寝たきりの生活を送り、幻覚を見るほどの高熱に見舞われたわけだが、昔であればどんな経過をたどったのだろうかと興味がわいた。ネットで調べてみると、自然治癒頼みのようだった。

病人は高熱で臥せっており、大量の汗をかくので、都度着替えさせる、水を飲ませる。これを2週間続けるとのこと。

つまり、この自然治癒にまかせた2週間を持ちこたえた者だけが、サバイバルしたということである。体力がなくてはどうにもならない。

私は薬の力を借りてさえ治癒に2週間以上かかった。現在の治療の基本は、安静、保温、そして水分補給だから、そこまではやることは同じ。これに薬によって咳などの対処療法と菌やウィルスを殺す原因療法の両方から行う。治療法がないとか、薬が与えられないとか、それで治すなどとにかく考えられない。

新型コロナウイルスのことは知らないが、肺炎の原因となる菌やウイルスの種類は相当あり、どれにかかったかなど調べるのは難しい。肺炎ワクチン接種を受けていたところで、主要な菌に有効だというものであって、すべての肺炎球菌に効く設定ではない。

あるTV番組の実験を観たのだが、そもそも肺炎の菌を所有している人がけっこういるのだそうだ。鼻腔に棲みつき、免疫力のある人は発症しないが、抵抗力のない人が発症してしまうのだという。そして、どこでそれを拾ってきたのかも不明である。罹患したころ、確かに私は忙しくしていて疲れていた。

医師の診断書をもらった際、肺炎の原因は不明と書いてくれたのを見た。電車の中、ビルの中、街中など不特定多数の人との接触、二次接触などその機会にあふれており、原因を辿ることなど無理というわけだ。

わかったことは、何が原因で肺炎になるにせよ、程度がどうであれ、肺炎はかなりのダメージを食らうということ。そして、うつされても、すぐに熱が出るわけでもなく、ましてや肺炎所見を認めるわけではないのだから、早めの病院受診とか言われても「最初からどうやって肺炎だとわかるというのか?」という現実がある。悪化し、肺に明確なダメージを受けて、初めてエビデンスとして現れるのだから。

事実、私は最初から病院にかかっている。それでコレだとすると、専門家とは思い込みで「お前は違う」と判断している人が多いと言えないだろうか?

咳があって熱っぽいと、ロキソニンのような解熱鎮痛剤を使用することも多いだろう。そのときは検温していても低めに出てしまい、相手にされなかった私のことを思い出してほしい。

あのときドクターに「聴診器を当ててくれ」と言っていたなら、もっと短い期間で異常を認めてくれたのかもしれない。最大の反省点である。
若いから大丈夫と言うのは間違いだ。肺炎は老人だけのものではない。そして、過去の診断はあてにならぬから、おかしいと思ったら何度でも病院に行くのだ。自分の身は自分で守るしかなく、ここぞというときは安易に誰かに委ねてはいけない。