八雲立つ出雲の国にあるものは…
出雲大社といえば、巨大な注連縄飾りで有名である。どんなに写真で見知っていても、あれをこの目で見てみたいと憧れる人も多いはずだ。人は大きなものに憧れ、また巨大な力に包まれてこれまでにない安らぎを得たいと思う小さな生き物なのかもしれない。
私も、出雲旅行の目的のトップに「注連縄が見たい」という希望があった。体の小さい私は、背の高い人に憧れ、車高のある車に乗ると気分が上がり、高いところに上っては空を飛びたいという衝動的な感情をグッとこらえ、パァ~ッと視界が開ける場所をやたらと好む傾向がある。
それは映像だけでは足りないのだ。
そういう願望傾向にある人には、ぜひとも出雲行きをオススメする。
出雲には巨大神殿があったことでも有名だが、巨大なのは神殿だけではないと感じる。
巨大信仰が古より根付き、そしてその思想は今もなお続いていることをここの人たちは意識していないのではないだろうか。
大なるものを求めて、出雲大社の鳥居をくぐった。
日本一の大鳥居
空港連絡バスの一番前に座り、車体の高いところから巨大な鳥居を撮る。出雲大社には4つの鳥居があり、こちらは一の鳥居。なんと日本一の大きさを誇る。
- 鳥居の高さ:高さ23m
- 柱の周囲:6m
- 柱の直径:約2m
- 中央の額面:六畳敷
- 材質:鉄筋コンクリート造
「あの鳥居、結構大きいなぁ」ではない。我が国ナンバーワンなのだ。もうのっけから巨大信仰を見せつけられている。
一の鳥居をくぐり、神門通りへ。視界の先はまだ何も見えない。その先に出雲大社があるはずなのだ。
正門前に来ると、二の鳥居がある。こちらは木製。
千家尊福(せんげたかとみ)卿の像。出雲大社第80代出雲国造で、男爵になっている。
「一月一日」という唱歌を作詞したことで有名。
♬年の始めの 例(ためし)とて~🎵
三の鳥居は鉄製。ここから松の参道。
そして最後、四の鳥居は銅製だが、修繕中で撮影は叶わなかった。
日本一大きいしめ縄、それは拝殿ではなく、神楽殿!
拝殿に来た。このしめ縄も大きいが、まだ序の口だろう。目的の日本一の注連縄は拝殿ではなく、神楽殿にある。
友人が出雲大社に行くという。で、彼女が行ったあとに、「私、拝殿がそれと思っていて、大したことないなぁと微妙だった。で、ついでにその辺もぶらつこうと思って歩いていたら、神楽殿があって、そのしめ縄の大きさに感動した。少し奥まったところにあって、あやうく見逃すところだった」と言ったら、彼女の顔が凍りついた。
「まさか、拝殿だけ見てきたんじゃないよね?」
「……。大きなしめ縄のあるところが神楽殿って知りませんでした」
「あらぁ…」
「悔しいので、もう一回行ってきます」
出雲大社での祈祷
2016年3月まで続く出雲大社の平成の大遷宮。その途中ということで、今回通常とは別の場所でご祈祷を受けた。そのとき、神職の方から神仏に対するときの作法いろいろ、出雲大社の二礼四拍手一拝についてなど結構厳しく言われたが、こんな時でもなければ教わらないので、皆神妙にしていた。
特に心に残っているのは、「神仏に股を開いた状態を見せることはあり得ない」と男性がよくやる胡坐や股を開いて祈祷を受けることに対して注意していたこと。それぐらい言っていただけると、日本人の礼儀作法も改善すると思って聞いた。
祓、祝詞奏上、お神楽の後、神職の方に促されて八足門の中へと特別に通された。そこで二礼四拍手一拝をして祈祷を終える。
神職の方がいうには「昔はその社でそれぞれにいろんな礼拝の仕方でやっていたのだが、統一しようということで一般的に二礼二拍手一拝になった。しかし出雲大社では二礼四拍手一拝である」とのこと。
そしてついに神楽殿へ。
巨大すぎて、写真を撮るのにちょっと考えるほどだった。寄ると大きさが伝わらないし、引くと小さく見えるし。
長さ13.5m、太さは最大8m、重さ4.4トンと日本では最大級の注連縄。クレーンで奉納している。
日本一の国旗
神楽殿南側には高さ47mの国旗掲揚台があり、日本最大の日章旗が掲げられている。旗の大きさは畳75枚分、重さは約50kgに達する。
この日の丸、NHKの放送で、朝一番4:58 amころに映るアレだという。天候の悪い日には掲げないとか。
あまりに大きすぎて、75畳分の大きさと言われても、そんなふうには見えない。
一番大事なことを忘れていた。
出雲大社は国宝で、出雲大社本殿の高さは約24mと日本で一番高く、最も古い神社のひとつである。
巨大なるものは「出雲【3】」につづく。